価格改定について

今週から全ての商品の価格調整をします。

仕入れ値と製造費等で計算した実際の値段と朝食としての理想の値段のジレンマについてずっと考えていました。

使用しているほぼ全ての材料が高騰しており、仕入れの段階で高いものでは去年の2倍以上の値段になっています。

異常気象によってそもそもの生産量が減っている材料もありますが、流通コストの増加、円安、人件費の高騰が大きく影響しています。

国産のものでも、収穫するまでの物資や作業のコストが少しずつ増加しているため、まとめてみると大きな値上げにつながっています。

そして、それらを全て負担するのがエンドユーザーになりがちという心苦しさは常に感じており、朝昼晩でみると朝食がその煽りを受けやすいことも頷けます。

お店としては、安価な代替品で味を落とすことは避けたいと思っており、可能な限り卸ではなく買い付けにいき配送コストを抑えたり、商品のサイズを小さくし値段を落としたり、旬の食材の割合を多く提供したりと対策していました。

大きな会社であると、構造改善や技術力向上で時間をかけて効率的にコストを減らすことはできるのですが、個人店では現実的ではありません。

物価が上昇していることは目に見えやすい社会問題ですが、本当の問題は価格は上がっているのに、農家さんなど一次産業従事者はあまり豊かになっていないということです。

その問題をひしひしと感じながら、何を大切にして営業していくのかを考え続けています。

原材料の背景や、生産者の方々の努力を知るほどに、適正な価格で仕入れ、適正な価格で提供することの意味を強く感じていることも事実です。

“誰が損をするか”ではなく、“どうしたら共に生きていけるか”を考え続けることが大切であると思っています。

今回の価格調整は、今の社会や流通の構造のなかで、どのように品質を守りながら持続可能なお店であるための選択なのかという視点で決断しています。

それでも、日々の朝食が贅沢品になってしまうような状況は避けたいと思っています。

心と体を整える、健やかな1日のスタートとしての朝食が、無理なく日常にあるものであってほしいです。

お客様の日常の力添えとなれるよう、これからもできる限りの工夫と真摯なものづくりを続けていきます。

どうかご理解いただけますと幸いです。

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